2021年の年頭会見で慰安婦問題の最終的勝つ不可逆的な解決を謳う2015年の日韓合意を「政府間の公式合意」と認めた文在寅大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 韓国の文在寅大統領は1月18日の記者会見で、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を謳う2015年の日韓合意を「政府間の公式合意」と認めた上で、1月8日にソウル中央地裁が日本政府に賠償を命じた元慰安婦訴訟に関して「正直、困惑している」と述べた。元徴用工訴訟についても、「強制執行で現金化されるのは日韓関係に望ましくない」と語っている。

 既に国家間で解決済みの問題を蒸し返す韓国に辟易としている日本人は少なくないが、それは韓国人でも変わらない。韓国でベストセラーになった『反日種族主義』の共同著者、イ・ウヨン氏が元慰安婦や徴用工に支払われた過去の慰労金について解説する。

李 宇衍(落星台経済研究所研究委員)

「正式な賠償ではない」というフェイクを流した挺対協

 韓国において、元慰安婦に対する金銭的支援が初めて行われたのは1992年である。挺身隊対策協議会(挺対協、現在の正義記憶連帯<正義連>)は、国民の募金によって1人当たり250万ウォン(現在のレートで約23万円)を支給した。

 韓国政府による支援が始まったのはその翌年だ。生活安定支援金という名目で一時金500万ウォン、毎月15万ウォンが支給された。一時金はその後、大きく増加して4300万ウォンに膨れあがり、毎月の支援金も147万4000ウォンに達している。さらに、必要に応じて年間で最高1800万ウォンの看病費と984万ウォンの治療費が支給される。

 以上は中央政府からの支援であり、地方自治体は2020年まで、毎月20万ウォンから85万ウォンの支援金を別途で支給していた。

 1997から1998年には、日本で設立された「女性のためのアジア平和国民基金」から1人200万円(約1500万ウォン、当時のレート)の「償い金」が支払われた。日本の首相からおわびの手紙も届いている。

 この基金は名称が「国民基金」であり、実際に募金も行われたことは確かだが、実は日本政府の出資だ。募金は6億円だけで、日本政府からの拠出金と補助金が48億円だったからだ。

 このお金に関して、韓国では「日本の民間の資金」という誤解が広がり、多くの元慰安婦が受け取りを拒否したのは挺対協のプロパガンダのせいだった。「日本政府の資金ではないから正式な賠償ではないし、公式の謝罪もない」と主張し、償い金と謝罪の手紙を受け取った人を批判して、他の元慰安婦は受け取らないように仕向けたのだ。

 日本の国民基金設立と元慰安婦への慰労金支給を肯定的に評価していた金泳三(キム・ヨンサム)政府とは異なり、金大中(キム・デジュン)政府も挺対協に追従し、国民基金の事業に対して否定的な態度を取った。韓国政府が挺対協に振り回され始めたのは、この時からだろう。

 金大中政府は元慰安婦だと申告した186人に、国民基金の償い金をはるかに上回る3800万ウォンを支給すると決め、国民基金の償い金を受け取った者には支給しないと発表した。挺対協が国民から募った500万ウォンもこれに加えた。

 とにかく、このようにして元慰安婦は1992年の生活安定資金に続き、2度目の大金を手にすることになる。国民基金、あるいは韓国政府から受け取ることができたからだ。