旧日本軍の慰安婦被害者を支援する韓国の市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」が1月8日に実施した定例の水曜集会(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(李東原:韓国評論家)

 韓国・ソウル中央地裁が1月8日に下した、慰安婦問題を巡る日本政府を相手取った損害賠償請求訴訟判決で、外交部が日韓両国政府間の慰安婦の合意を「両国政府の公式合意」だと論評したことに対して、13日、元慰安婦の支援団体である正義記憶連帯(正義連)は強く反発した。

 正義連はこの日、ソウル鍾路区の旧駐韓日本大使館前で開かれた第1474回定期水曜デモで声明を出し、「歴史的な判決に対する韓国政府の反応は失望を超え、憤りを感じるもの」と批判。「韓国政府は今からでも被害者の声に耳を傾け、日本政府が責任を果たすよう要求し、被害者の名誉・人権回復のためにあらゆる努力を傾けるべきだ」と主張した。

 被害者に耳を傾けろと訴える正義連だが、30年間、元慰安婦の名誉回復と福祉のために闘ってきたと言いながら、問題解決はより遥遠となり、各種支援金や募金が元慰安婦に回ってこなかったことが元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんの告発で明らかになっている。

コロナ禍でのワインパーティー騒ぎで顰蹙を買った正義連元代表

 韓国で新型コロナウイルスの再拡散を受け、社会的距離を3段階に格上げすべきかどうかを巡って議論が盛んだった2020年12月13日、韓国・民主党の議員が正義連の元代表、尹美香(ユン・ミヒャン)氏が自身のフェイスブックにマスクもつけず、知人5人とワインパーティーをする写真を掲載して非難を浴びた。

件のワインパーティの写真

 写真の下には「吉おばあさんの誕生日を、おばあさんの空席を胸に刻んで私たち同士で会ってお祝いし、健康を祈る」「夢の話を交わしながら食事」という説明を付け加えた。「吉おばあさん」は元日本軍慰安婦の吉元玉(キル・ウォンオク)さんを指すと見られる。

 丁世均(チョン・セギュン)国務総理は12月12日、「防疫が崩壊すれば国民生活もともに脅かされざるを得ない。現在はどんな言葉でも言い表せない非常に危ない状況」と強調した。また「経済的、社会的打撃を考えれば、何としても今の段階で拡散傾向を反転させなければならない」とし、「会合と集まりを最大限自制し、防疫規則を徹底して守ってほしい」と国民に訴えた。コロナ禍で国民の生業がマヒし、それによる被害で大きな苦痛を受けている昨今、一国の国会議員が知人と集まってパーティーを開いたことに対する国民感情が爆発した。

 論議が起きると、尹議員は写真を削除し、「吉元玉おばあさんの誕生日を迎え、これを祝い、おばあさんへの懐かしさを偲ぶために催したパーティーだった」とし、「国民に謝罪し、理解をお求めしたい」と釈明したが、論議が静まるどころか、尹議員に対する非難はさらに激しくなった。