慰安婦への犯罪は朝鮮人を含む民間人の仕業
李 宇衍(落星台経済研究所研究委員)
故裵春姫(ぺ・チュンヒ)など12人の元日本軍慰安婦が日本政府を相手取って原告1人当たり1億ウォン(約948万円)の損害賠償金を要求した訴訟。韓国ソウル中央地方裁判所民事第34部は1月8日、原告の主張と要求を全面的に受け入れ、原告勝訴の判決を下した。言うまでもなく、この判決はでたらめだ。
まず、この判決は「反人道的不法行為に対しては主権免除が適用されない」という筋が通らない論理を根拠としている。原告らは「(日本国政府が)組織的、計画的に慰安婦制度を設けて運営し、慰安婦を動員する過程で植民地として占領していた朝鮮半島に居住する原告らを誘拐、拉致して朝鮮半島の外に強制移動させ、原告らを慰安所に監禁したまま常時、暴力、拷問、性的暴行に晒した」と述べ、裁判所はこの主張を認めた。しかし、日本政府や軍がそのような不法行為を行なった証拠はない。
慰安婦を動員する過程で誘拐や拉致があったとしても、それは朝鮮人を含む民間の仲介業者や斡旋業者の仕業だった。「日本軍部の組織的、強制的な慰安婦動員の証拠」だと誤って伝えられた「軍慰安所従業婦等募集に関する件」という文書は、慰安婦を募集する上で誘拐や拉致など不法行為があってはならないという指示だった。慰安婦募集の過程であったとされる不法行為は、日本政府や軍ではなく民間人によって行われており、解放以後の韓国と同じである。つい最近まで韓国では若い女性を拉致・誘拐し、性売買業に従事させる犯罪がたびたび発生した。
慰安所内での暴力行為も同様だ。そうした不法行為の主体も慰安所経営者や管理人であり、日本政府や軍ではなかった。むしろ、日本の軍人が慰安婦を暴行すると処罰の対象になった。慰安所は性売買業という業種の特性上、慰安婦と経営者や管理人の間の意思疎通が大切で、多くの朝鮮人が慰安所の経営や管理に参加した。慰安婦に対する暴力行為は、今日の性売買業の事業主による性労働者暴行と類似している。今日、性産業に従事する者を暴行したら警察が検挙して処罰するように、一種の公娼である日本軍慰安所で、仮に軍人が慰安婦を暴行したら、日本軍がその兵士を処罰することになっていたのだ。
つまるところ、慰安婦に関連する「人道に反する犯罪」があったのであれば、それは朝鮮人を含む民間人が行った犯罪であり、日本政府の犯罪ではなかった。日本政府がそのような犯罪行為を行ったという証拠はまったくない。したがって、慰安婦問題に関連して、日本政府が「主権免除」の対象になるか否かを争う必要すらないのだ。慰安婦を動員する過程で警察や軍人などの不法行為があった根拠としてたびたび元慰安婦たちの“証言”が取り上げられているが、彼女らの証言も信頼できず、証拠として採択できない。「証言」の一貫性がないからだ。