韓国・ソウルの商店街を歩く人たち(2021年1月2日、写真:AP/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 コロナ禍のなかで新年を迎えた。

 旧正月を盛大に祝う韓国だが、今年の正月は金土日の3連休だった。普段なら韓国で働く人は祝日になっている元日だけ休んで、翌2日から慌ただしく出社する。だが今年は、SNSなどを眺めていると、在韓の日本人たちは正月の三が日をのんびりと過ごしていたらしい。

 特に今年はコロナの第三波に見舞われての年末年始だったので、韓国政府は不急不要の外出を自粛するよう要請した。すでに日本でも報道されているように、韓国の飲食店では食事を提供する場合には店内で飲食できるものの、飲料のみを提供する場合はテイクアウトが義務付けられている。

 つまり、外で食事することは許すが、外で休むなというわけだ。近所に散歩に出ても、歩いている人が例年に比べて圧倒的に少ない。私が住んでいるのはソウル中心部から外れた住宅街だが、日本の正月のように通りは閑散としていた。

苦肉の策で軽食セットを提供

 そんななか、店内に客がのんびりしているコーヒーショップがいくつかあった。「あれ?」と思って店舗の入口に近寄ってみると、それまでなかったブランチメニューを始めたと書かれたポスターが貼ってある。