(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
韓国人歌手たちが世界でブレイクするニュースを、このところよく見聞きするようになった。男性グループのBTS(防弾少年団)は、この3年ほど欧米を席巻し続けており、アメリカのビルボードで1位を記録したばかりだ。また、昨年(2019年)からはガールズグループのブラックピンク(BLACKPINK)がアジアや欧米で注目を浴びている。
PSY(サイ)による『江南スタイル』の世界的な大ヒットは2012年だったが、その記憶がまだそう色褪せていない今、K-POPが世界で躍進している状況には正直なところ驚いている。
というのは、BTSやブラックピンクは、明らかにPSYとは異なるからだ。
韓国の伝統芸能に通じるPSYのパフォーマンス
PSYの場合はキッチュなパフォーマンスを売りにした。どう見てもズッコケている男がリッチに着飾った恰好をして気取りまくるというギャップがウケたのだ。楽曲の中で披露され、世界中で踊られた馬乗りダンスは、なぜそれが取り入れられたのかまったく意味不明である(そもそも、PSY自身、そんなところで意味など求めていないのだろうが)。