ニューアルバム『BE』の発売前に韓国・ソウルで記者会見を開いたK-POPグループ「BTS」(2020年11月20日、写真:AP/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 最近は少し静かになったものの、K-POPの飛ぶ鳥を落とす勢いは相変わらず続いている。BTS(防弾少年団)やブラックピンクなど、アメリカのビルボードホット100で上位に食い込むグループも出てきている。歌唱力は安定していて、ダンスも見事だ。私も気が付けば口ずさんでいるし、車を運転しているときもラジオなどでよく聴いている。

 その一方、日本ではJ-POPの低迷を嘆く声がネット上で散見される。個人的には日本にだって素晴らしいパフォーマンスを披露する歌手がいると思っているが、どうしてもK-POPの勢いが目立ってしまうのだろう。

K-POPが誕生した背景

「K-POP」という言葉は1990年代後半に出現した。日本で80年代の終わりから「J-POP」という言葉が用いられるようになり、それが韓国に流入。そして90年代後半に韓国の音楽界に新しい波が起こり、K-POPという言葉が生み出された。

 K-POPという言葉自体は、J-POPとの差別化を図る目的で作られたもので、“K-”が「韓国発」を意味しているものの、韓国色を強くアピールしているわけではない。それよりもむしろ「新しい音楽スタイルをつくり上げていく」というメッセージが強い。