(高橋 義明:中曽根平和研究所・主任研究員)
首都圏では感染拡大が続く中、1都3県の知事が新型インフルエンザ特措法に基づく緊急事態宣言の発出を政府に求めた。政府も1月7日の発出に向けて検討に入った。
前週比半減など、年末年始の都心への人流が減少した今、緊急事態宣言の発出は効果的だと考えられる。その場合、首都圏一体として考えるならば、飲食店への時短要請以上に企業・事業所に対する休業協力要請による都心8区への通勤の抑制が重要になる。以下ではその理由をみていきたい。
感染爆発地域と推定される都心8区
筆者は2020年12月11日記事(「都知事から回答、都はGoTo感染者を調査・把握せず」)において、新宿区などはドイツのロックダウン基準の10万人当たり新規感染者数/週の50人を上回り、都心部では緊急事態宣言など「地域間の移動制限を検討すべき時期」と指摘した。しかし、飲食店などへの時短要請、Go Toの全国一時停止などが行われたものの、その後も感染拡大が止まっていない。直近1週間の人口10万人当たり感染者数は新宿区88.6人、渋谷区86.6人、港区83.4人、目黒区83.0人、千代田区81.9人、中央区67.8人に達している。品川区(53.0人)、豊島区(52.4人)も50人を越えた。
上記は感染者の居住地別であるが、12月1日以降に感染者の勤務先などが公表した都内878カ所の情報を地図化すると、図1の通り、新宿駅、渋谷駅、東京駅、池袋駅、品川駅周辺が多い。
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