正月にはお餅を喉に詰まらせて窒息する事故が起きやすい

 前回、年の瀬ではありましたが、羽田雄一郎議員の急逝、そのプロセスの報道を目にし、緊急稿(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63479)を準備したところ、多くの反響をいただきました。

 年明け用には元来、研究室のテーマである「AI倫理」の原稿を準備していました。

 しかし、「お正月」という観点から、羽田議員のケースに学ぶべきことが、まだいくつもありますので、それをお届けし、もし皆さんの身近で急患が出た場合、役立てていただければと思います。

「車で搬送したら殺しちゃいますよ」

 パーティーグッズなどで声をおかしな響きに変えてしまう「ヘリウムボイス」で遊ぶスプレーを市販していますが、この種の商品には約20%の酸素が混ぜてあります(実際、上のリンクにもそのように明示されています)。

 かつて私が超伝導など極低温物性実験を学び始めたとき、液体ヘリウムの取り扱いで最初に習った一つが「間違っても吸い込んではいけない」でした。

 酸素分圧が低いというか、「酸素が含まれない」乾燥した気体のヘリウムを肺いっぱいに吸い込んでしまうと、全身の血液が静脈血化するようなものですから、直ちに生命に直結します。

 研究室や工場の設備には、何気なく見えて大変に危険なものが決して珍しくありません。

 大学院に入って専門人として物理のシステムに触れる以前、子供の頃は無知のためにどれだけ危険なことばかりしていたか・・・。

 物事の道理が分かってから振り返って、ゾッとするようなケースもいろいろ思い当たりました。

 こうした「無知」に起因するリスクは、のちに大学に勤めるようになり、30代後半の助教授になっても、しっかり残っていたのです。