(高橋 義明:中曽根平和研究所・主任研究員)
論点となっていたGo Toトラベルにおける東京都の扱いは、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人の12月17日までの利用自粛となった。それに伴って旅行を取り止めた人のキャンセル料は税金から補填される。
政府はGo Toトラベルが感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスはないとの立場を変えていない。一方、尾身茂・政府新型コロナ分科会会長は「(東京などでは)Go Toを含めて人の動きを控えるべき時期」と政策の転換を主張している。それでは、東京都・政府では、都民のGo Toキャンペーン利用状況、Go Toキャンペーン利用と新型コロナウイルス感染の関連性などを調べていたのだろうか?
本稿では東京を取り巻く状況をデータなどで確認してみたい。
東京都もGo To感染者を調査・把握せず
まず必要なデータは、陽性患者のうちにGo Toキャンペーン利用者がどれだけいるかである。
しかし前回の記事(「Go Toとコロナ第3波、本当に関係があるのか?」)で指摘したように、筆者が北海道、大阪府、愛知県、神奈川県など220カ所の保健所の所管部局に確認したところ、異口同音に「調査しておらず、把握していない」との返事であった。現在はGo To関連の感染データ収集・分析、公表が不十分である。同記事も受けて東京新聞、毎日新聞がこの問題を取り上げている。
それでは「65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人の除外」を政府に要請した東京都は、Go Toキャンペーン利用者で感染した人たちを把握しているのであろうか。