朝鮮労働党第8回大会で序列が下がった金与正氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(金興光:対北専門家)

 朝鮮労働党第8回大会が8日間という最長期会議の末、12日に閉幕した。 8日目には今後5年間、労働党を率いる主要人事が公開された。ポイントは3つある。金正恩氏の肩書きが党委員長から総書記に復元されたこと、金正恩氏の執事の趙甬元(チョ・ヨンウォン)氏が政治局常務委員会と政治局委員に昇進したこと、そして金与正(キム・ヨジョン)氏の格下げである。金与正氏の正式な部署や職位は明らかにされていないが、公式序列が20位となって世間の注目を集めた。

 金正恩氏は5年前に労働党委員長になったが、その肩書きが総書記より低いと感じた可能性があり、また各国の労働党や共産党の大半が総書記を使っている実情を勘案したかもしれないが、大したことではない。金正恩氏は金正恩氏だ。むしろ、趙甬元氏の昇進は全く予想できなかった。

 北朝鮮専門家の多くは、今回、趙甬元氏が獲得したすべての肩書きを金与正氏が占めるだろうと予見していた。 しかし、金与正氏は党大会主席団2列目に着席したが、役割はなく、カメラも彼女にフォーカスしなかった。崔龍海政治局長や趙甬元氏をはじめとする側近らが討論や発言を行ったが、金与正氏が表に出ることはなかった。

 世論は、金与正氏が金正恩氏から疎んじられたか、あるいは金正恩氏の権威を絶対化するため、ナンバー2の存在を断ち切ったか、いずれかと見る。北朝鮮権力層の内部では一体、何が起きたのか。金与正氏の格下げが今後、北朝鮮内部にどのような影響を及ぼすのか。世間の評価はまちまちだ。