度重なる舌禍、釈明に追われる関係者

 2018年10月には韓国独自の対北制裁「5・24措置」をめぐって舌禍を巻き起こした。

「韓国人の金剛山観光が禁止されたのは5・24措置のためか」という与党議員の質問に対し、康長官は自信を持って「そうだ」と答え、「担当部処で5・24措置の解除を検討している」という“爆弾”を投げた。

 しかし、金剛山観光が中断されたのは、08年7月に金剛山で韓国人観光客が北朝鮮軍によって銃殺された事件後であり、5・24措置は2010年の哨戒艦の「天安艦」沈没後に行われた措置で、事実関係が誤っている。さらに、康長官が投げかけた「5・24措置解除の検討」は、米国や国際社会の強力な対北制裁協力を正面から阻害する行為と受け止められた。

 康長官の発言直後、統一部長官が急いで「事実ではない」と否認し、鎮火に乗り出したが、米国のトランプ大統領はホワイトハウス記者団に「韓国政府は我々の承認がなければ何もしない」と2度も強調し、韓国政府に強い警告を示すほど、米韓関係に大きな波紋を呼んだ。

 康長官の失言はその後も続いた。2019年3月には「ハノイ米朝会談で米国が北朝鮮に要求したのは核廃棄ではなく『凍結』だった」、「北朝鮮と米国、韓国の非核化概念は同じだ」と主張し物議をかもした。ハノイ米朝会談の決裂後、米国は何度も「最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)」を目標だと強調してきたので、康長官の発言はややもすると米韓間の異見が表出したのではないかという指摘が提起された。

 おかげで外交部関係者は「一気に廃棄まで持ち込めないので今回は凍結を目標にしているという意味だ」と問題発言の釈明に追われるはめになった。