1月13日、緊急事態宣言を11都府県に拡大することを発表する菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 首都圏のみに集中させる予定で1月7日に発令された緊急事態宣言だが、菅義偉首相は、わずか6日しか経っていない1月13日に、大阪府、兵庫県、京都府、愛知県、岐阜県、福岡県、栃木県を対象に追加した。これらの府県で感染状況がステージⅣにあるというのが理由で、期間は14日から2月7日までであり、規制措置は首都圏に対するものと同じである。

菅内閣のコロナ対策、まるで「継ぎ足し建築」

 国内の感染者数の累計は30万人を超え、年明けから感染が爆発的に増えている。

 これで緊急事態宣言は11都府県が対象となったが、この地域以外でも感染爆発に近づいている地域が規制措置を強化した場合には、宣言対象地域と同じ支援を行うという。因みに、福岡県については、知事からの要請がないまま、政府は宣言の対象としている。

 しかし、後手後手感は否めず、これで十分な成果が上がるのかどうかも不明である。私は、福岡県の出身であるが、大都会である福岡市には、隣接する佐賀県、熊本県、大分県から買い物や遊びのために多数の人が往来する。都心にあって便利の良い福岡空港のほうを自分の県にある佐賀空港、熊本空港、大分空港よりも頻繁に利用する人も多い。さらには、新幹線で1時間という距離なので広島県、そしてもっと近い山口県からも、関門海峡を超えて人が移動する。

 そうなると、博多や北九州市から感染が周囲に拡大していくことになる。今後、さらに緊急事態宣言の対象地域が増えていくことは当然予想される。イメージ的に言えば、「継ぎ足し建築」、「たこ足配線」と言った感じである。

 実際に、感染者数の前週比は福岡県が1.9、熊本県が2.3、病床の使用率は前者が58.6%、後者が62.4%であり、陽性率は前者が10.5、後者が12.8と、この3つの指標では熊本県のほうが福岡県よりも深刻である。そのため、熊本県は独自に緊急事態宣言を出している。西村康稔大臣も感染状態によっては、対象の追加もありうると述べている。