6月25日、北京の医療診断検査会社の研究所の様子。北京では6月11日に食品市場でコロナ感染が確認されてから、短期間で検査体制を増強。それまで1日あたり4万件の検査が可能だったが、検体採取所が480カ所、採取カウンターの数は2422、1日の検査能力は30万件以上へと拡充された(写真:新華社/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 全国で、新型コロナウイルスの感染者がまた急増している。

 7月22日には795人、23日には981人と、過去最多を更新した。地域別に22・23日の感染者を見ると、東京都が238・366人、神奈川県が68・53人、埼玉県が62・64人、千葉県が40・33人と首都圏が多いが、大阪府でも121・104人、兵庫県は30・35人、京都府は19人・19人、滋賀県は11・17人、愛知県は64・97人、福岡県は61・66人と増えている。

 さらに24日を見れば、全国での新規感染者は771人と前日に比べて少し減少したものの、まだまだ高い水準。しかも、東京は260人と4日連続の200人超え、大阪に至っては149人と過去最多を記録してしまった。

 ここまで、感染者が増えると、これは、もう第二波と呼んだほうがよい。なぜ、こうなったのか、どこに問題があるのか。

中国・韓国は検査体制拡充で封じ込めに成功しているのに、なぜ日本はできないのか

 お隣の中国では、6月11日に北京市豊台区の「新発地」食品卸市場で新型コロナウイルスの感染が発生し、6月21日までに236人の感染者が確認された。中国政府は、1日数十万件のPCR検査を、人海戦術とITでの接触者割り出しで徹底し、周辺地区を封鎖してウイルスの根絶を図った。全体で1000万件以上の検査を実施した結果、このオペレーションは成功し、7月4日には収束宣言を出している。北京の人口の半分を検査したということである。東京で言えば、1400万人の人口の700万人を検査したことになる。

 新型コロナウイルスの震源地である武漢市では、5月14日から6月1日までの期間に、990万人を対象にPCR検査を実施したが、これは市の人口の9割に当たる。2900の検査場で、5万人の医療関係者、20万人のボランティアが参加して行われたが、300人の無症状の感染者が判明した。

 中国では、皆に義務化されているスマホアプリによって、行動履歴が当局に完全に把握される監視社会となっている。まさにジョージ・オーウェルの『1984』の世界であり、この点は人権の観点から真似るわけにはいかないが、迅速、大量にPCR検査を実施する点は参考になる。PCR検査体制の強化は、「専制国家だから可能で、民主国家の日本では不可能だ」というのは間違っている。

 韓国でも、6月末に首都圏や光州で集団感染が広まったが、徹底したPCR検査で収束させつつある。韓国は、中国のような独裁国家ではなく、自由な民主主義国家である。

 日本では、安倍首相が約束した1日2万件というレベルにもまだ達していない。小池都知事は、1日1万件に増やすと豪語したが、いつ実現するのか。中国、台湾、韓国がウイルス封じ込めに成功している現在、感染が拡大している日本が、アジアのエピセンター(震源地)となりつつある。