国会を早期に開き、法的整備を急げ

 私は厚労大臣として、2009年の新型インフルエンザ対応に当たったが、そのときには感染症法を最大限に活用して、早期に感染の収束に持ち込むことができた。しかし、感染症法には盛り込まれていない点について、都道府県知事や医療関係者から様々な要望が寄せられた。

 2009年夏の総選挙で自民党は下野し、民主党政権に交代したが、私が厚労大臣のときの経験から課題としてきた新型インフルエンザ特措法が2012年5月に公布された。

 ポイントの第一は、知事は、感染症蔓延のときに医療機関に協力を要請できるが、協力した医療機関への補償ができるようにしたことである。知事の要請に対して、正当な理由がないのに医療関係者が応じないときには、指示に切り替えることができる。

 第二は、知事の権限強化である。外出自粛、休校、イベントの制限などについて、それを住民に要請する根拠法がなかった点を改めたのである。災害対策基本法と同様な権限を付与する法律となっている。

 この法律は、周知のように、今回、新型コロナウイルス感染症を追加するとともに、緊急事態宣言を可能にする改正が加えられた。そして、次の改正の課題として今議論されているのは、自粛要請などに罰則付きの強制力を持たせ、その場合の補償を明記することである。

 新型コロナウイルスの感染が収束後、新型インフルエンザ特措法と感染症法を一つにまとめた新感染症法を作るべきである。「離れ」を継ぎ足すのではなく、「母屋」を建て直さないと、異常気象に伴い、今後も次々と襲ってくる新たな感染症に対応できないからである。

 そして、新型インフルエンザ特措法の担当が西村経済再生大臣、感染症法担当が加藤厚労大臣という不思議な二頭体制も解消し、厚労大臣に権限を集中する正常な形となる。

 法律を作るのは国会議員である。国会を早期に開いて、この危機的状況に対して、国権の最高機関として対応せねばならない。

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