さて、最近、ファーウェイがスマートフォン(以下、スマホ)事業から撤退する可能性を示唆する報道が2つあった。

 1つ目は台湾の電子業界紙である「電子時報」で、次のように報じた。

「中国の通信設備大手ファーウェイ・テクノロジーズの幹部は最近、モバイル端末事業から撤退する可能性があると台湾の半導体業界関係者に伝えたようだ」

「米国の禁輸措置強化によりファーウェイのスマホ事業が完全になくなる恐れがあることを示唆したものと受け止められている」(出典:電子時報2020/9/1)

 2つ目は、中国ITメディアの「36Kr Japan」で、次のように報じた。

「8月30日、アップル製品に精通するアナリスト郭明錤(Ming-Chi Kuo)氏が、天風国際証券のウィチャット(WeChat)公式アカウントにて、ファーウェイのサプライチェーンに関する分析リポートを発表した」

「それによると、『9月15日以降、ファーウェイはスマホの部品を調達できるかどうかにかかわらず、競争力と市場シェアで影響を受ける。最低でも市場シェアが減少し、最悪の場合は携帯電話市場から撤退することになるだろう』という」(出典:36Kr Japan 2020/9/1)

 上記の報道よりだいぶ前に、「ファーウェイの海外向けスマホの低迷は深刻である」とする報道もあった。

 中国メディア「財新」は、次のように報じた。

「ファーウェイ輪番会長の徐直軍氏はオンラインで開いた2019年度決算説明会(2020年3月31日)で、アメリカの輸出規制の影響で海外市場での携帯端末事業の売り上げが少なくとも100億ドル(約1兆750億円)失われたと説明」

「調達できなくなったアメリカ製品を代替するため、研究開発投資を大きく増やしたとした」

「そして、徐氏は『このような状況下で、我々は自らの生死を顧みずに2017年や2018年と同等の純利益率を追求することはできない。まずは空いた穴を埋め、サプライチェーンを再構築し、そのうえで生き延びることを第一の目標にしている』と語った」(出典:財新Biz&Tech 2020/4/3)

 本稿のテーマは、半導体とソフトウエアのサプライチェーンを完全に遮断されたファーウェイの動向を探ることにある。

 初めに、BIS声明の概要を述べ、次にファーウェイの最先端半導体の調達問題について述べ、最後にファーウェイの独自モバイルOS(基本ソフト)およびモバイルアプリの開発状況について述べる。