今回は、9月頃から晩秋に向けて最盛期に入るハゼ釣りの楽しみについてご紹介させていただきます。
簡単で歴史と奥行きの深いハゼ釣り
ハゼ釣りは古くから楽しまれてきた釣りの対象魚です。
以前ご紹介した江戸時代の釣りに関する文献「釣客傳」(1818~1830年)の現代語訳「江戸釣術秘傳」(小田順著)には、伝馬船でしょうか小舟でのハゼの釣り方が詳細に記述されています。
江戸時代の「釣り本」の記述を見ながら、実に約200年前の釣り人も今にも通じる釣法や同じような感じ方をしていたのかと思うと、浮世絵で釣りの場面を見る時と同様に感動を覚えます。
先人の教えを読んだ後に書くのもやや恐縮してしまいますが、自身の経験からはハゼ釣りは、生息地や釣れる時期、潮回りなどを覚えると、比較的高い確率でよく釣れる「楽しい釣り」に出逢うことができます。
さらに竿や仕掛けなどの装備も簡単で、比較的安価に始められる敷居の低い釣りの一つです。
ただ、「楽しみ方」を追い始めると、古くから様々な愛好家に楽しまれているだけあって、その奥は深く、道具に至っては繊細で高価なお宝級の道具まで存在します。
実釣までの「味わい」も含めて歴史の深い「遊び」ですが、私もわずかにその片鱗を楽しませていただいています。
そんな奥の深いハゼ釣りですが、現代は都市化によって釣行場所が限定されています。
現在、ハゼ釣りのメッカといえば、すぐに思い浮かぶのは千葉県と東京都の間を流れる江戸川放水路の河口域。そこでは手漕ぎボートや桟橋から多くの人がハゼ釣りを楽しんでいます。