機体重量の約半分を占める200トン近い航空燃料ケロシンが、尾根への衝突と同時に、爆発的に燃え上がり、周囲を炎が包んだことが想像できた。
機体はバラバラに四散していた。巨体の面影と言えば、狭い尾根に横たわる大きな字でJALとペイントされた片方の主翼だけだった。
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続々と収容される遺体の一部
周辺にはバラバラになった遺体や細かい肉片、木の枝にひっかかった一本の腕、高熱で炭化してしまった部分遺体、機体部品、乗客の荷物が散乱している。
「あんな重い物が空を飛ぶのは信じられない」と飛行機嫌いはよく言うが、こんな場面を見せつけられると、まさにその言葉を実感させられた。
不思議なことに一席の乗客シートだけは奇跡的に燃えずに残っていた。
頭上のヘリがまき散らす轟音の下で、手を合わせて毛布に遺体を包む警察官、ビニール袋を持ってバラバラになった手足を拾い集める自衛隊員、立ち昇る炎にスコップで土をかける地元消防団――それぞれが割り当てられた仕事を黙々とこなしていた。
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そんな彼らの中にも、初めて凄惨な現場を目にしたのだろうか、その場にへたり込んで必死に吐き気をこらえる一人の警察官が、捜索を続ける仲間たちを見つめる姿があった。