「勉強嫌い」から「学習嫌い」に

 一度勉強が嫌いになってしまえば、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」。勉強臭のするものは毛嫌いし始める。親が勧めるものはみんな勉強臭がして、嫌がる。「勉強嫌い」のみならず、「学習嫌い」にまでなってしまう。学ぶこと自体も拒否するようになる。

 この状態になってしまうと、学力が伸びない。学力格差は、学習嫌いが原因だと言える。学習嫌いになる前に勉強嫌いになり、勉強嫌いの前に宿題や勉強の強制がある、ということになる。

宿題の強制が学力格差の原因か

 多くの親は、子どもたちが自発的に勉強しないことに苛立ちを隠せない。同じ調査では、子どもの自宅学習におけるストレスとして52.7%が「自発的に勉強しない」ことを挙げている。

 だが、「自発的に勉強」という言葉は、矛盾している。勉強という強制を自発的に選ぶなんて、子どもがするだろうか。大人でも、強制されたら嫌がるものだ。もともと自分から楽しんでいたことでも、他人から強制される形だと、なんだか嫌な気分になるものだ。

 自発的に勉強しないのは、勉強という「強制」だからだ。そういう意味では、今回の新型コロナ休校に限らず、子どもたちに学力格差をもたらしているのは宿題ではないか、と私は以前から感じている。

大人の不安が宿題を増やす

 ほとんどの親はマジメだから、学校の課題は必ずやらなきゃいけないと思う。しかし、そもそも子どもはじっとしていられない(特に男の子にその傾向が強い)。宿題という、机に向かう作業は、つまらない。だから逃げ出す。それでも親は強制する。それが勉強嫌い、学習嫌いを生む原因だと思えてならない。

 特に新型コロナによる休校で、カリキュラムを消化できるか不安なため、学校側は宿題を多く出す傾向があるようだ。

 先生たちに悪意はない。先生たちは、文部科学省が定めるカリキュラムを消化することを義務付けられており、そうせざるをえない。学習内容をしっかり定着させるために、宿題を出す。

 親もコロナ休校で学力が低下しては大変、と不安がある。子どもたちに宿題を強制するが、子どもは強制されればされるほど、強制された行為を嫌う。そう、勉強を。