そして6月に入るとさらに活動は目立つようになる。
6日には渋谷、7日には大阪で「Black Lives Matter」のデモが行われたが、そこにアンティファが姿を見せた。在阪の警察関係者によれば、「大阪のデモ行進では大勢の外国人を含め1000人近くが参加して、メディアでも取り上げられた。そもそも学内で差別を受けていると主張する関西在住の外国人留学生がデモを呼びかけたことで大きな行進になった。参加者の中にはアンティファにつながっている者もいて、こうした活動にこれからアンティファがさらに関与していく可能性があるので注視している。ちなみにデモを呼び掛けた留学生は姿を見せなかった」という。
さらに、6月14日には東京の代々木公園から渋谷周辺への大規模なデモ行進が行われたが、そこにもアンティファのプラカードなどを掲げている参加者なども確認されている。
日本では暴力的活動は見られないアンティファだが・・・
こう見るとわかるように、日本版アンティファはこれまでのところ暴力的な活動は行っていない。事実、「関西のメンバーは平和的なデモで活動を行うと述べている」(在阪の警察関係者)らしい。
だが冒頭のように、アンティファを名乗る人物から、入国管理局や渋谷警察署を標的にした、手榴弾や包丁での攻撃をほのめかす物騒な脅迫メールが送られるなど、アンティファ周辺に暴力的な動きの兆候も見られるようになった。もちろんこうした“脅し”は無関係な者からの悪戯の可能性もあるが、警戒はしておくべきだろう。
さらに言えば、日本版アンティファの動きには外国人らしき人たちの姿も確認されている。国外から、何らかの目的で日本を混乱に陥れようとする勢力が関与するようになっても不思議ではないし、その可能性は排除すべきではない。そうなれば、アンティファの動きは単なる国内のデモ活動に止まらない。安全保障の問題にもつながっていくからだ。
デモの様子がSNSなどで拡散され、日本にアンティファの受け皿があることがわかれば、国外からアンティファの活動に関与している人たちが一時的に入国してアジテーションを行う可能性だってある。東京のデモ行進に参加していた外国人アンティファ活動家は、デモの際のアピールでこんなことを発言していた。「ヒトラーの提唱したファシズムは日本と関係が強い・・・日本の若者の中にファシズムが増えているのは危険だ」。
そうしたレトリックが世界に喧伝され、国外のアンティファが日本のアンティファメンバーらと繋がりを強化するようなことになれば、日本での活動が過激になっていく可能性だってある。
日本版アンティファは、さまざまなデモ活動に便乗したりしながら、今後も集会などへ関与していくだろう。とりあえずは、暴力的になっていかないことを願うばかりだ。