米国ミネソタ州ミネアポリスの警察官に拘束されて死亡したジョージ・フロイド氏の死を受けて、アトランタでデモ行進する人々(2020年5月31日、写真:AP/アフロ)

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

 米国でのデモ騒動が急速に拡大している。

 その理由は複合的だ。もちろんその主な理由としては、黒人の人々が日頃から差別を受けていることに対する不満がある。米国の人種差別問題は、歴然と存在するからだ。したがって、こうした差別事案を引き金にした騒乱は、過去にも幾度となく発生していた。

 しかし、今回は拡大の規模が大きく、スピードも速い。そこで、まず「差別の存在に対する反発」という主要因を踏まえたうえで、今回の急速な拡大の他の要因を挙げてみたい。それは主に以下の3つである。