5月31日、ジョージ・フロイドさんの死亡事件に対するボストンでの抗議デモで、アンティファの旗を掲げる人物(写真:ロイター/アフロ)

(山田敏弘:国際ジャーナリスト)

 今、アメリカで「アンティファ」なる集団に注目が集まっている。

 黒人男性ジョージ・フロイドさんの死亡をめぐる抗議行動が全米に広がる中、抗議デモに紛れて暴力的な活動をしていると批判されているのが、この急進左派グループ「アンティファ」である。ただ彼らがどこまで抗議デモに関与しているのかはまだ議論が続けられているところだが、2020年大統領選で劣勢になっているドナルド・トランプ米大統領は今回の抗議デモについて批判の矛先をツイッターで「アンティファの工作員」に向けている。トランプお得意の「敵を作って支持を得る」戦略だ。

 最近もニューヨーク州バッファローで6月4日、夜間外出禁止令の警備をしていた警官隊に、75歳の白人男性マーティン・グジーノ氏が近づいた際に、警官の1人がグジーノ氏を強く押し、グジーノ氏が後ろ向きに転倒、頭を打ち耳から血が流れる様子が動画で世界中に拡散された。トランプは自身のツイッターで、この人物についてこんな見方を示した。

<反ファシスト『アンティファ』の工作員かもしれない。75歳のマーティン・グジーノは突き飛ばされる前、警察の機器を妨害するために通信を読み取ろうとしていたように見えた。『ワン・アメリカ・ニュース・ネットワーク(OANN)』を見たが、男は警察に押された以上に激しく倒れた。警察無線を狙っていた。仕組まれていた?>