日本の航空機開発能力がアメリカに脅かされた事例として、「F-2」(当時は「FSX」、三菱重工業が製造)の開発を思い浮かべる人が多いと思います。ここでは詳しく説明しませんが、国産を目指したにもかかわらず、アメリカのゴリ推しを受けて、「F-16」(米ゼネラル・ダイナミクス社開発)ベースでの改造開発となった事例です。当時は、今以上に日本の能力が低かったこともありますが、こと航空機開発能力という点では、日本はきわめて大きな機会を失いました。

 ですが、F-2後継問題に関して、このケース以上に参考とすべきなのは、F-2開発問題に遅れること10年、1990年代中頃から始まった、「AAM-4」(99式空対空誘導弾)の開発、配備問題でしょう。

 空自は、1985年頃より、AIM-7スパローミサイルの後継を必要としており、開発が終了して配備が始まっていたアメリカの「AIM-120 AMRAAM」(米ヒューズ・ミサイル・システムズ社/現レイセオン社開発)の導入を目指しました。しかし、アメリカ側がNATO諸国以外への売却を渋ったため、国産開発を行い、命中精度ではAMRAAMを上回るとも言われるAAM-4を作り上げます。

 AAM-4は、99式空対空誘導弾という名称のとおり、1999年に採用が決まりました。ところが、アメリカはここに至って姿勢を変え、2014年にAMRAAMの日本への輸出を認可します。売らないと言っておきながら、いざ日本が同等の性能の装備を開発すると、量産効果で費用対効果に上回る装備を売りつけるという姿勢に、当時の関係者は大変憤慨しました。

 世界情勢も日米関係も変化してはいます。しかし、防衛省が望んだ「F-22」(米ロッキード・マーティン社とボーイング社が共同開発)は、日本に輸出されることはありませんでした。日本がアメリカと同等水準の航空機開発能力を持つことを、主にアメリカの議会(特に航空機産業を票田とする議員)が今でも警戒していることが大きな理由です。日本がF-22に迫る戦闘機の開発能力を持っていたら、F-22も売却されたでしょう。

 つまり、最終的にどのような開発計画になるにせよ、これから検討が始まるF-2後継機開発について、防衛省が“我が国主導”と声高に言い、その姿勢を見せつけない限り、国際共同開発において、まともな交渉のテーブルにつくことはできないのです。そして、日本に相応の技術基盤がなければ、まともな交渉ができないまま、アメリカ製の機体を高い値段で買わざるを得ない状況になります。

「心神」が実証した日本の技術

 そうは言ったところで、“我が国主導”が可能なのかという問題は確かにあります。しかし、防衛省は、少なくとも技術的には可能だと判断したのでしょう。