(北村 淳:軍事社会学者)
5月8日、尖閣諸島の魚釣島沖合12キロメートル付近の海域で操業中の日本漁船(与那国島の漁協に所属)に、尖閣諸島周辺海域に姿を見せていた4隻の中国海警局巡視船のうちの2隻が接近し、追尾を開始した。
4隻の中国海警局巡視船には3000トン級武装巡視船「海警1304」が含まれていた。日本漁船を追尾したのは、「海警2501」5000トン級ヘリコプター搭載巡視船と「海警14603」1000トン級巡視船であった。海上保安庁巡視船が急行し、日本漁船を保護すると共に、中国海警局巡視船に日本領海からの退去警告を発した。
海上保安庁によると、日本漁船には損害は生じなかったという(とはいっても、小型の漁船が5000トンの巡視船に追跡されたのであるから、日本国民が大いなる脅威にさらされてしまったことを日本政府は恥ずるべきである。)
日本の「領海内」で「操業中」の「日本漁船」を、中国の法執行船である海警局巡視船2隻が追尾して操業を妨害したというのは、中国政府機関による明白かつ重大な日本の主権侵害である。
それにもかかわらず、日本政府は外務省アジア大洋州局長が在日中国公使に電話で抗議すると共に、在中日本大使館も中国外務省に対して電話で抗議しただけである。