最期まで幸せに生きるために「人生会議」を

――健康なうちから「人生の最期」を自分ごととしてバリエーションを増やすには、どのようにすればいいでしょうか。

大津 人生の最期に携わる緩和ケア医としては、どこか「ポックリ死ねる」と考えている人が多いという印象があります。でも、実際にポックリ死は少なくて、【A】意思表示はできる状態だけれどもがんや慢性疾患をしばらく患ってから、【B】老衰や認知症などだんだん意思表示ができなくなって亡くなるというようなパターンがほとんどです。まったく健康な状態で考えられる未来のパターンは無限にありますけれども、まず【A】【B】の2パターンに絞って考えると想定しやすいかもしれません。

*写真はイメージです

――在宅で過ごすか施設(病院)に入るかという選択でも、認知症とがんでは大きく違いますね。

大津 在宅ケアの中身や期間を考えても【A】と【B】は長期で先の見えない介護か、短期で緊張感が多い介護かの差がありますから、より本人の希望を叶えられるのはどちらか、介護する側の適性はどちらなのかと考えることができると思います。ですから、ご本人と身近な人たち、ケアを提供する医療者たちと互いに会話を重ねていってほしいと思います。

 自分が望むように最期を迎えられるということは幸せなことだと思いますし、周りの人の幸せにもつながります。幸せに生きていくための手段として、ACPが広まってほしいと思います。