(4)欧州ルートや米・アフリカルートの沿岸国に海外軍事基地を建設するのは政治的に微妙な問題なので、沿線の途上国や地区との経済協力を進め、租借、投資、株の購入、技術移転などの方法で、ルート上の重要港湾、島嶼の経営管理権を獲得し、中国の海上通航に関連した寄港基地や補給点としての防護力を逐次発展させる。
海外投資は、これまでは民間企業が海上安全に対する配慮無しに無統制に行ってきたが、今後は、民間投資は努めて重要な海峡、運河、水域に重点的に投資させる。
中国の主要な輸出先港湾をもつ国・地区への投資を優先し、重要な交易ルートの代替港湾に重点投資する。
海外投資の重点対象となるこれらの要域については、徐々に民用から軍事用に転換させ、しだいに中国の海上安全保障のための海外重要基地にしていく。
短期的には、新たな建設、株式の買い取りや部分購入方式で要点に対する投資を進め、国内企業の純経済的行為を装うが、中期的には、純粋な商業的形式により、その港湾の中国の艦艇に対する補給や小修理を行わせる。
長期的には、新たに港湾を建設しその筆頭株主となり軍民共用を実現する。
すなわち、平時には筆頭株主として正常な事業経営を行い、中国の海上安全の突発事件が紛争に至った場合は、管理している港湾を軍民がともに使用できるようにし、中国の海軍艦艇が長期に停泊し、大規模な修理や人員交替、物資の補給に使用するのを許可する。
(5)荷主の国家が主導する新しい国際安全保障システムを構築する。
このため、貿易量が多く海上安全に影響を受ける中印米豪、中東原油輸出国のような国が海上安全保障のための国際協力機構を創ることを提案する。日仏のような、海運大国だが貿易量の少ない国はこの仕組みには加えない(同上書、326-328頁)。
以上の脆弱性対策では、以下の諸点が注目される。