(1)南シナ海のような中国が直接面している重要海域の警備は、海警局が主となって自ら海上安全保障を確保するとの意思を明確にしている。
(2)交易ルートとして最も脆弱な欧州ルートと米・アフリカルートの特に原油とコンテナの交易路については、代替ルートとして陸路を確保する。そのために、一帯一路構想が提唱されたと明言している。
一路の要請が先にあり、それを補完するために一帯が提唱されたのは明らかであり、その際特に、南シナ海~マラッカ海峡~インド洋の安全確保が重視されている。
(3)一路への進出の最終的狙いは、海上安全が脅かされたときに、平時は民間の港湾として中国企業が管理している港湾を海軍の基地として長期間使用できるようにすることであると明言している。
そのためにまず、沿岸の途上国に合弁、投資、技術協力などあらゆる方法で接近し、港湾の経営管理権を確保することを重視している。
(4)米国に対しては、その管理下にあるパナマ運河とカリブ海の通行が妨害される恐れがあるとして、ペルーからブラジルに通じる鉄道建設を進めるとしている。
半面、貿易量が多い国としてインド、豪州とともに国際安全保障機構の共同創設を米国にも呼びかけている。この際日本は意図的に除外し、米印豪との分断を画策している。
まとめ
このように、一帯一路に秘められた戦略的意図は以下のようにまとめることができよう。
「中国の死活的国益である、南シナ海~マラッカ海峡~インド洋を重点とする海上安全保障を、中国沿岸部を拠点にできる限り遠方まで自力で守る態勢を固める」
「それが及ばない遠方は、平時から非軍事的手段で一路をスローガンに有事に拠点軍港化できる港湾を沿岸国に確保するとともに、陸路に代替ルートを開拓する」