「一帯一路」構想に取り込まれる香港。香港国際空港にて(筆者撮影、以下同)

 香港経済は今、「大湾区」というキーワードで盛り上がっている。別の名を「ビッグベイエリア」ともいう。広東省の9都市に香港とマカオを加えた11都市で構成される一大経済圏構想が「粤港澳大湾区」だ。

 中国本土と香港を結ぶ鉄道も整備が進む。広州~深セン~香港を結ぶ全長142キロの「広深港高速鉄道」計画は、深セン~香港の区間がすでに試運転段階に入った。香港~マカオ~珠海を結ぶ海上橋もかかり、開通が目前に迫っている。

 習近平国家主席がぶち上げた「一帯一路」構想のもと、“香港の中国化”は、想像以上の速さで進んでいる。それは、十数年ぶりに香港を訪れた筆者の目にも明らかだった。

中国に同化する街並み

 ハリウッドロードといえば、観光客を惹きつける香港指折りのストリートだ。香港ならではの個性的な店を期待して訪れたが、中国本土にもよくある成金趣味的な店ばかりが目についた。不動産価格が値上がりを続ける香港において、高額なテナント料を払っても利益を出すには、大陸の富裕層を相手に勝負するしかないということか。

 大陸客が押し寄せる目抜き通りのネイザンロードも、まるで“上海の淮海路”のようだった。筆者の記憶に残る香港はもっと雑多な街だったはずだが、今回、見たものは、大陸客相手の「周大福」や「周生生」などの貴金属店、または「莎莎」や「卓悦」などのドラッグストア、あるいは大陸資本の飲食店ばかりだった。

大陸客相手の貴金属店が軒を連ねる香港の街並み