自民党安全保障調査会が「次期防衛大綱」に向けた提言を2018年5月に策定した。次期防衛大綱は政府が年末に改訂する。今回、提言の取りまとめを行った自民党きっての国防通、若宮健嗣(わかみや・けんじ)国防部会長に、次期防衛大綱の改訂の狙いについて語っていただいた。その内容を2回にわたってお届けしている。
前回は、筆者による若宮議員へのインタビューの模様を紹介した。今回は、防衛技術・装備政策に造詣の深い佐藤丙午(さとう・へいご)拓殖大学教授と若宮議員に対談をしていただく。
(前編)国防に必要なのは陸海空・宇宙・サイバーの一体運用
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53416
次期防衛大綱は何を目指しているのか
佐藤丙午教授(以下、敬称略) 次期防衛大綱への提言内容は非常に興味深い構想だと思いますが、あえて批判的に質問させていただくならば、新しい大綱は一言で言うと何を目指すものなのでしょうか。過去の大綱ではそれぞれ焦点が非常に明確だったと思います。例えば、北方重視、南西重視、グレーゾーン対処など、その時代時代の安全保障ニーズにどう対処するかに対するメッセージが非常に明確であったと思います。