「F2後継機の国産断念へ 防衛省、国際共同開発を検討」(2018年3月5日、朝日新聞)
「空自のF2後継機、F35など既存機ベースに共同開発案=関係者」(3月8日、ロイター)
「F2後継機、国産化断念へ=巨額開発費が障害」(3月10日、時事通信)
防衛省がF-2戦闘機の後継機開発を事実上断念したとの報道が相次いでいる。これに対し「予算面から妥当な判断」との指摘があるが、果たして本当にそうだろうか。本稿では、最低1兆円、下手をすれば2兆円を超えるともいわれる国産戦闘機開発には大きな意義があり、実は安くつく(少なくとも交渉上も初手から捨てるべきではない)ということを指摘したい。
防衛省は事実上の白旗宣言?
2018年3月初頭、朝日新聞、読売新聞、時事通信、ロイター通信等が相次いで、防衛省がF-2支援戦闘機の後継機の国産化を断念したと発表した。小野寺防衛大臣は同時期の記者会見で国産化を断念したわけではないとしているが、事実上断念したと言ってよい。
なぜならば、同時期に、後継機に関する「情報提供依頼書 (RFI)」を米英の防衛産業に対して発行しているからである。これは事実上の白旗宣言である。
というのも、まずこれを出した時期が問題である。RFIは、先進技術実証機X-2、いわゆる「心神」の成果報告を防衛省内でまとめる前に提出された。これではX-2で培った技術を生かす気がないと言っているようなものであり、「国産はない」と示唆しているに等しい。
第2に、RFIを出した行為自体が異常である。通常、次期戦闘機はRFIの次段階の「提案依頼書(RFP)」から始まる。実際、F-35の導入に際してはRFPから始まっている。平たく言えば、RFIとは基本的な情報の要求である。料理の注文に例えるならば「辛くてスタミナがつく料理は何か?」というものだ。一方、RFPとは具体的な性能要求であり、「1200円以内かつ800キロカロリーで、ほうれん草を使った、やや辛いインドカレー」というものである。要するにRFIを出すということは、すべて丸投げということなのだ。自分が何を食べたいかを米英の企業に決めてもらっているようなものである。つまり、将来の戦闘機の国産はほとんど諦めたと言ってよい。