誤植ではありません。これは「定義する、このように定めましょう!」というここでのルールを規定、宣言するものです。つまり、上の式は
「力というものを 速度(という、実際に測れる量)の時間変化率に比例する量(もまた、実際に測定できる)として定義しよう!」
「これはまた、位置(という、これまた実際に測れる量)の時間変化率の時間変化率に比例する、と書くこともできる。この比例関係で出てくる、比例定数をmと置くことにしよう!!」
という世界への呼びかけ、新しいものの見方のマニフェストという、人類史を大きく変化させた、革命的な世界観の転倒そのものを示す、血沸き肉躍る知性のクーデターを表す式、なんですが・・・。
そんなふうに学校で教えていますか?
少なくとも私はそんなふうには習わなかったし、今現在、教養学部生に教えるときは、こうした原理的な議論は、必ず学生からため息か歓声が上がるような具体例をもって、教授するようにしています。
ちなみに12年ほど前にルワンダ共和国大統領府の招聘で現地に滞在したときは、地方の中学高校を回って、音楽と物理を教えるキャラバンをやってみました。
そこで選んだのは「自然法則」として普遍的に成立するもの<だけ>に限定し、ニュートンの第2法則は最初の課題で教えました。
朝方マーケットで購入してきたもの、ジャガイモや鉄釘などを2階から落とし、重力加速度を測定させました。
その前に、普通子供が思い込んでいる、古代人と同様の誤謬、ドクサ、「重いものは速く落ちる」を確認させたうえで、それを全部ひっくり返してショックを与えてやります。