2012年に株価100円を割り込む経営危機を経験したNEC。2013年に第3の創業として変革に取り組み、好転の兆しが見えた2018年度から2023年度までの間に、営業利益や株価は約3倍にまで復活をとげる。その復活の鍵となった改革「Project RISE」の中身とはどのようなものだろうか。同社執行役Corporate EVP兼CHRO兼ピープル&カルチャー部門長である堀川大介氏が講演で語った骨子をお伝えする。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第4回 人・組織・働き方イノベーション」における「特別講演:危機を経て「選ばれる会社」となるための人・カルチャーの変革 NECの人的資本経営/堀川大介氏」(2024年11月に配信)をもとに制作しています。

売上減が続き株価も100円割れ、陥った危機的状況

 2024年に創業125周年を迎えたNEC。長い歴史を振り返ると、常に順風満帆だったわけではなく、幾度となく危機に直面してきた。

 例えばここ30年の業績推移では、売上高は2000年の5兆4097億円をピークに下落に転じ、08年には純利益が約3000円億円のマイナスとなる。そして、2012年には株価が100円を割り込むなど危機的状況に陥った(下図)。

 背景には、Japan as No.1と称された1980~1990年代から2000年に入り、グローバル競争が激化したことがある。NECでは個人向けPCや半導体といったさまざまな看板事業を整理せざるを得なくなった。