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 知的エリートである戦略コンサルタントの中でも、別格のパフォーマンスを発揮する超一流の人たちは「ものの見方」がそもそも違う。では、彼ら・彼女らは世の中をどのように見ているのか。ボストン コンサルティング グループ(BCG)出身のトップコンサルタントが30年間積み上げた知恵と経験の集大成として書いた『戦略コンサルのトップ5%だけに見えている世界』(金光隆志著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。標準的なコンサルと超一流の違いの一つである「考えるという行為」について考える。

 専門性と創造性を掛け合わせた「複眼的なものの見方」を身に付けるには?

パターン認識には「専門性」と「創造性」の2つのルートがある

『戦略コンサルのトップ5%だけに見えている世界』(クロスメディア・パブリッシング)

 パターン認識のルートには次の2つがあります。

 ① 既知のモデルによる現象の理解(適用的パターン認識≒専門性)

 ② 現象を新たな切り口で説明するモデル化(発見的パターン認識≒創造性)

 トップ5%の戦略コンサルタントの特徴は、②の発見的パターン認識力の高さです。では、①の適用的パターン認識は重要ではないかというと、まったく違います。むしろ、①で高いパターン認識力を発揮できる高い専門性を身につけていただきたいと思います。

 専門性はできれば2つのまったく異なる分野で持つことが理想です。ひとつは仕事に直結した分野です。専門医の診断力が一般医より専門の疾患領域でははるかに高いように、たとえば、マーケティングを仕事にしているのなら、一般的なマーケティング知識だけでなく最先端のマーケティング理論や学術研究をフォローするくらいの気概があってもいいでしょう。

 事業においてつまらない、浅いパターン認識しかできないのはたいていの場合、②の創造性以前の問題で、①専門性が水準以下だからです。

 たとえば、一般人が体調を崩したとき、「風邪かな、それとも他の病気かな」くらいにしか自己診断=パターン認識をできないのは医学知識が乏しいからですが、多くの人のビジネス知識は、この一般人とまでは言わないまでも、専門家ほど深くもないのが実態でしょう。厳しい言い方ですが、その程度のパターン認識力で行う認識には創造性を阻害するほどのバイアスなんてほぼありません。あるのはワンパターンの認識だけです。