
知的エリートである戦略コンサルタントの中でも、別格のパフォーマンスを発揮する超一流の人たちは「ものの見方」がそもそも違う。では、彼ら・彼女らは世の中をどのように見ているのか。ボストン コンサルティング グループ(BCG)出身のトップコンサルタントが30年間積み上げた知恵と経験の集大成として書いた『戦略コンサルのトップ5%だけに見えている世界』(金光隆志著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。標準的なコンサルと超一流の違いの一つである「考えるという行為」について考える。
前提や既存の切り口にとらわれず、まったく異なる視点から物事を考えるための「思考枠」を身に付ける方法とは?
納品1年待ちの機会損失をどう解消する?

はじめにひとつ、ケーススタディを考えてもらいます。あなたのもとに相談が来ました。相談の主は、超高級ブランドバッグのメーカーです。
バッグの単価は50万円をくだらず、平均価格が80万円、数百万円を超える商品も少なくありません。それでも大変な人気を博しており、このブランドのバッグを手にすることがひとつのステイタスとなっています。
バッグは基本的に受注生産で、熟練の職人による手作業で作られています。いまバッグをオーダーしてもすぐその場で持って帰れないどころか、納品まで1年以上かかります。それでも欲しいというファンが多い一方、興味はあるが1年も待たされるならいらないと考え、注文に至らない人も数多くいるのがわかっています。
メーカー側から見れば機会損失が起きているのは明らかですが、オーダーをくれている顧客にも潜在的な不満や妥協があると見ています。それをなんとかすべく、戦略コンサルティングの依頼が来たという状況です。
「納品まで1年かかっているこの状況をどう解消し、顧客を増やすことができるか」――さて、あなたならどう考えますか。
一般論として、なぜ1年も待たせているかと言えば、バッグの需要に供給力が追い付いていないからでしょう。そこで供給力を増やす方策を考えてみます。大きくは2つの方向が考えられそうです。①SC(サプライチェーン)施策、②MD(商品ライン)施策です。