
知的エリートである戦略コンサルタントの中でも、別格のパフォーマンスを発揮する超一流の人たちは「ものの見方」がそもそも違う。では、彼ら・彼女らは世の中をどのように見ているのか。ボストン コンサルティング グループ(BCG)出身のトップコンサルタントが30年間積み上げた知恵と経験の集大成として書いた『戦略コンサルのトップ5%だけに見えている世界』(金光隆志著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。標準的なコンサルと超一流の違いの一つである「考えるという行為」について考える。
ものの見方を一新し、発想を広げる「コンセプト」の持つ力とは?
戦略思考を結晶化するコンセプト

何かの課題に対して、仮に同じインサイトを得て、同様の結論にたどり着いたとしても、トップ5%の戦略コンサルタントの最終的なアウトプットは違いがあります。
何が違うのかと言うと、示唆の射程が違います。「示唆の射程ってなんだ?」と思うでしょうが、とりあえず、なぜ示唆の射程が違うのかと言うと、トップ5%のアウトプットには往々にしてコンセプトがあるからです。では、コンセプトとは何か。
「コンセプト」はそのまま訳すと「概念」で、単純に言うと、物事から何か特徴を抽出し、それに名前を与えることですが、もう少しパラフレーズすると、現実を何らかの切り口で抽象し、「状態」に「かたち」を、「ランダム」に「秩序」を与えるものです。
ここで、第2回で考察した「パターン認識」について思い返すと、概念とパターン認識はとても似ていることに気づきます。実際、概念を捉えるには必ずパターン認識が先行します。ひとまず、概念を捉えることとパターン認識はほぼ同義と思っても大過ありません。
しかし、ここで「概念」ではなく、わざわざ「コンセプト」や「コンセプト化」という言葉を使うとき、それはパターン認識を前提にしますが、パターン認識以上の固有の概念を提唱しています。まさに、これが「コンセプト化」です。しかし、これでは何を言っているか、意味不明だと思います。そこで、事例問題を通じて、コンセプトとは何かについて理解を進めてみましょう。