「25年大学入試に『情報科目』追加・・・首相方針」という報道の見出しを見て、これはダメだと思いました。
さらに報道の内容を見てみると、「プログラミングなどに関する『情報科目』を国語や英語と並ぶ基礎的科目として大学入試に追加する方針」と記されており、完全にアウトと判断した次第です。
これについて、1999年から今年で20年目になりますが、情報部署の教官として大学で研究教育の現場に立つ1人として、所感を記したいと思います。
やめた方がいいという結果になるのが目に見えるように思われます。
現実に、新入学生むけ最初に教える「情報」教育とは?
今現在、「情報科目」はほとんどの大学入試に入っていません。ということは、ヒマネタの科目ですから、音楽などと同様、大学入学者の粒は全く揃っていません。
ハッカーなみにコンピュータ―に通暁した学生も時折見かけますが、大半はシステムに知識も経験もありません。
私たちが大学1年前期の必修「情報」で最初に教えるのは、「電源の入れ方、システムの立ち上げ方」に始まり「安全なシャットダウンの仕方」「フリーズなどした際の対処法」などです。
ハードやソフトを破壊しない0の0からで、その次に教えるのは「べからず集」です。例えば次のようなケースです。
「A君は大学のシステムで海外のエロサイトにアクセスし、無修正写真を大学のプリンタから出力しようとしたが、トラフィックが詰まっていたため、途中であきらめて放置した」
「しばらくするとその種の画像が大量に出力され、当然誰のジョブかは判明したのでアカウント停止3か月、おかげで留年した」
「B君は、アイドルのファンサイトにたくさん投票したいと考え、友達のアカウントのパスワードを盗んで回り、違うユーザとしてファン投票をした」
「高位入賞のお礼メールがアイドルの事務所サイドから送られて来て、そんなものに投票した記憶がない同級生たちの間で話題になり、調査の結果、パスワード盗用の事実が発覚、学籍剥奪、放校」
念のため、上の2つは実際に東京大学教養学部で発生したケースです。東大の入試を通って入学しながら、アイドルのファン投票で学籍を失った愚かな子供がいたことを、履修生諸君には入学直後にかなりインパクトをもって教えます。