大学に教籍を置くようになって正味19年が経ち、この間、日本と欧米の「卓越大学」間を繋ぐプロジェクトに関わって痛感するのは、日本はこのままでは世界に太刀打ちできなくなるということです。
分かりやすく言うと、日本の院卒の多くが中学レベルであるのに対して、欧米では学部生がちゃんと大学レベルの基礎学力を持っているという、残念ながら厳然たる事実に基づいて思うものです。
諸悪の根源は、入試制度と大学の学部構成にあります。建設的な観点から、これらについて平易に解説したいと思います。
このところ英語の「4技能/スピーキング」そして「情報科目」と、大学入試に手を入れることに、慎重な観点からお話させていただいたところ、非常に多くのビューが立ったとご連絡をいただきました。
みなさんの関心が高いことが察せられましたので、系統だって、また大事なことは重複も恐れず、きちんと受け止めていただけるまで、論を重ねたいと思います。
私は親が英語教師で、子供の頃から家に帰って来ると母親が自宅で教室を開いてもいました。
副業として中学生までの子供に家で英語を教えて家計の支えにしていたもので、英語に限らず語学や語学教育には、能力には限界がありますが、私なりに真剣な思いは持っています。
また1999年に「大学院情報学環」という所に人事があってから、一貫して「情報教育」には関わっており、関連する研究プロジェクト、もうずいぶん前になりますが30代には教科書も書いたことがあります。
つまり「情報科目」をいい加減にしてよいなどとは、露ほども考えていません。むしろ正反対です。
だからこそ、中途半端な入試科目を増やして、現在でも十分空洞化した大学入試を、「これ以上骨抜きにするのは止めた方がよいのではないか?」というのが、私の一貫したスタンスにほかなりません。