まず、中間管理職には何の権力もない、という苦い真実を正しく認識することが第一歩です。

 そして、マネージャーのあるべき姿を正しく知る必要があります。

 マネージャーはチームの上に乗っかっている存在ではなく、チームの活動を下から底支えする土台にあたるものです。

 もし自分が管理職で、部下より偉く、ある種の権力を握っていると勘違いしている場合は、既に管理職としては失敗していることになります。部下を育てることや、モティベートすることも無理でしょう。場合によっては皆がやる気を失い、一部は既に反旗をひるがえしているかもしれません。部下を「管理」しようとすると、ヒエラルキーの中で自分を上に位置づけることになってしまいます。しかし、誰しも自分を「下」に思わないのが人間です。

 昇進し、長という名のつくポストをもらい、給料も上がるのは、うれしいことです。それによって人より上に行ったと勘違いする人もいます。しかし、長のつくポストについたからといって自分が他の人より偉いことにはなりません。

 マネージャーは権力を行使したり部下を管理するのではなく、周りの人々が最高のポテンシャルを発揮するように支えるのが仕事です。部下はあなたのために働いているのではなく、あなたが部下のために働いているのです。

 つまり、マネージャーは権力者ではなく、チーム全員の可能性を最大限に引き出すコーチ役に徹する必要があります。部下にスターがいれば、そのスターがその貢献にふさわしい正当な扱いがなされるようにしないといけない。できない問題児がいれば、なんとか本来持っている可能性を最大限発揮できるようにしないといけない。部下の成功や、チームの生産性や、自分の部門の価値、そしていくばくかは会社全体の価値に対して責任を持つ。マネージャーになるということは、そういうタフな仕事を引き受けるということです。

 部下の成果を盗んで部下のやる気を下げたり、社内の情報の流れをブロックしたりする、害毒を流す中間管理職の存在に気づいている皆さんが、もしこれから管理職になるのであれば、いままでの間違った中間管理職のやり方をコピーするのではなく、自分のスタイルを築くようにした方がいいでしょう。