そのためには、身近にロールモデルが無ければセミナーを受講するとか、コーチングについて学ぶとか、いままで知らなかったスキルを学ぶ必要があると思います。それだけの投資の価値はあります。というのは、日本企業はどこでも、付加価値の無い中間管理職があふれている一方で、チームのパフォーマンスを上げるため皆の土台になって働き、皆をレスペクトすることのできるマネージャーを本当に必要としているからです。

4月1日に何をすべきか?

 これから人事異動のシーズンです。もし4月1日の異動でプロジェクトや部門を任されることになり、初日からはりきって皆に指示を与えようと考えているとしたら、見事に失敗するでしょう。

 なぜなら、中間管理職は本当の権力者ではないからです。誰もそんな中途半端な権力者を必要としていません。

 逆に、皆の役に立つつもりで、新しい役割に入りましょう。

 異動した初日には、話すのではなく、関係者の話を聞いてください。新しいボスの話を聞き、関連する部門のキーパーソンの話を聞き、あなたの部下・チームメンバーのそれぞれの話をじっくりと聞きましょう。その上で、「皆の仕事が今までよりうまくいくようにするには、自分は何をするべきか?」を考えるのです。

 中間管理職はプチ権力者ではありません。皆の役に立つことに徹することで、部下の信頼も得られるし、尊敬もされ、結局は成果を上げることができるはずです。

 次回に続きます。

(*)ビジネスパーソンにとっての権力の正しい捉え方をより詳しく知りたい方は、筆者の最新刊『新・君主論 AI時代のビジネスリーダーの条件』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をご一読ください。自分の取るべき道が、はっきり理解できるようになるはずです。

新・君主論 AI時代のビジネスリーダーの条件』(木谷哲夫著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)