給食の「食べ残し」はどうすれば減らせるのか

「完食の強要は“体罰”」と言われる時代の食べ残し問題

2016.07.08(Fri)漆原 次郎

 北海道浦河町は、文部科学省の「栄養教諭を中核とした食育推進事業(地域食育推進事業)」の一環で、食に関する指導の計画見直しなどを行った。子どもたちの発達段階に応じた指導などを検討したそうだ。すると、協力校における小学5年生の給食残食率は、3カ月間で30.1%から25.5%に減ったという。取り組めばすぐに効果が現れることを示す事例だろう。

 また、新潟県三条市では、2003年度に11.8%だった小学校の給食残食率が、2015年度には3.3%まで減った。要因として同市食育推進室が挙げるのが「学校給食の米飯化」だ。同市は2003年9月から、公立小中学校の米飯給食の回数を週3回から毎日に移行し、2008年4月からは完全米飯給食化を果たした。米飯がすべてを解決したのではないだろうが、地元で採れた食材を給食に積極的に取り入れたことは、教室での「残さず食べる・食べさせる」意識につながっているのだろう。

 失敗事例からも学べる。大阪市立の中学校では、給食の3割弱が食べ残しになっているという。調理委託事業者が給食を弁当箱に詰めて学校へ配送する「デリバリー方式」が、「おかずが冷たい」などと生徒に不評なようだ。美味しいと感じられない給食を出しても、子どもたちは食べたがらないのは当然だろう。同市は「自校調理方式」か、近隣小学校で調理された給食を配膳する「親子方式」を検討中だ。

 食育に対する方針や意思のあるところに残食率低下の効果あり、と言えるのではないか。

「明日は頑張ろうな」完食の喜びを分かち合う

 教室で子どもたちと接するのは教諭たちだ。自治体や学校での取り組みとともに、教諭一人一人の地道な取り組みにも大切になってくる。

 取材に応じてくれた公立小学校教諭は、「いただきますの前に、残しそうな子は減らさせます」と話す。それでも食べ残しをする子はいて、年間の残食率は「7%くらい」。けれども「残す子には『明日は頑張ろうな』と声をかけ、完食できたときには一緒に喜びます。クラスみんなで完食できた日も拍手をしたりして、みんなで喜びます」と言う。食べ切ることに対してほめることで、子どもたちに完食を促そうとしている。

 この教諭はまた「命をいただいているので残さないでおこう、と呼びかけています。作っていただいた調理員さんに申し訳ないから、残さず食べようと伝え続けています」とも話す。子どもたちに残さず食べさせることによって、ものの大切さを教えることができる。逆に、子どもたちにものの大切さを諭すことで、残さず食べさせることもできる。

 食の多様化が進んだ。今の時代、たとえ嫌いな食べものを残しても、他の食べものから代わりの栄養素を摂取し、補完することはできる。栄養摂取のことだけを考えれば、完食を強要する必要はないのだろう。

 それでも、「食べ残すことを何とも思わない」という意識がだんだん社会に広がっていくことには、やはり引っかかりがある。きれいに片付けること、最後までやり切ること、命をいただくこと・・・。残した食べものの分だけ、人や社会が失うこともあるだろうからだ。

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