給食の「食べ残し」はどうすれば減らせるのか

「完食の強要は“体罰”」と言われる時代の食べ残し問題

2016.07.08(Fri)漆原 次郎

 環境省は2015年4月、初の大規模調査となった「学校給食から発生する食品ロス等の状況に関する調査」の結果を発表した。それによると、2013年度、小中学生1人あたり年間で約17.2kgの食品廃棄物が出たという。また「残食率」つまり出席人数分の給食の提供量に対して残された給食の量の割合は、これを把握する全国約3割の市区町村での平均値で6.9%だったという。

 昭和50年代に小学生だった筆者もそうだが、一世代前の年齢層には、この量や率は「けっこう多いな」と感じられるのではないか。かつて、給食で出されたものはみな食べて、空になった容器を「給食のおばさん」に返すのが日常的だった。時間内に食べきれなかった子は、昼休みも食べ続け、給食のおばさんに「遅くなりすいませんでした」と謝りながら、給食皿を返していた。

食べ残しの“拡大再生産”が進んでいく

 子どもが給食を残すことの問題点は何か。1つは、体の成長に影響を及ぼしうるということだ。このことは栄養学の研究から明らかになっている。

 お茶の水大学の赤松利恵氏ら研究チームは2013年、「学校給食の食べ残しと児童の体格との関連」という論文で、食べ残しの有無と児童の体格差に相関があることを示した。小学5・6年生を対象に、給食を残らず食べた「完食群」と、それ以外の「残菜群」で分けたところ、両群間で体重3.5kg、BMI(ボディ・マス・インデックス)0.9kg/m2の差があったと報告している。同研究チームは、別の論文で「残菜群」の各種栄養素の摂取量が「完食群」より2〜3割少なかったことも示している。

 成長面の影響も大事ながら、より懸念したいのは精神面の問題だ。子どもが食べ残しをしないように大人が仕向けなければ、彼ら・彼女らが大人になったとき、食べ残しを何とも思わなくなってしまう。そうした大人たちが、我が子に「全部食べなさい」と言う姿は想像しづらい。

農林水産省によれば、既に日本は、年間5800万トンの食糧を輸入しながら、その3割を廃棄している「食品ロス大国」だ。年間5000万人分、金額換算にして11兆円分が捨てられていることになる。

 日本人には「もったいない」精神が宿っていると言われるが、裏腹に「すぐ捨てる」精神も兼ね備えていることは、あまり言われない。子ども時代、食べ残しについてがみがみ言われなかった世代が社会人になれば、当然、食べ残しの“拡大再生産”が進んでいくだろう。純粋に、利用するために用意された価値あるものを、利用せずに捨ててしまうことが徳のある美しい行為かと考えると、そうには思えない。

独自プランで残食率大幅減の学校も

 教諭が「食べ残しはだめ」と子どもに言いづらくなった面はあるだろう。とはいえ、食べ残しは今も昔も「ないに越したことはない」とは言える。では、どうすればよいか。

 学校側が明確な方針や意思のもとで計画を立て、それを実践すれば、子どもたちの食べ残しを減らすことができる。そう言える事例がいくつもある。

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