で、このISLがドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスと日本の広告代理店電通が共同出資して設立した会社で、1984年のロサンゼルス・オリンピックから本格的にスポーツビジネスに参入、80年代後半から90年代に盛んに活動し、この間、当時は政治家でもあったラミーヌ・ディアク氏への贈収賄などがありました。
これについて日本国内でどれくらい報道されているのか、本稿も米国で書いているので、よく把握できていません。
端的に言って昨日今日の話ではなく、30年、40年越しの国際スポーツ利権で裏金からドーピング隠蔽まで真っ黒けのど真ん中に「正規の監査なども通した」として招致委員会が支出していたこと、これは間違いないと言えそうです。
言い逃れできない「組織ぐるみ」状態
このスクープの翌日、東京オリンピック組織委員会は、公式ホームページに短いメッセージを掲載しました。本当に短いので全文引用しておきましょう。
「5月11日付(現地)英ガーディアン紙の報道について、下記のとおりコメントいたします」
「招致プロセスは招致委員会が取り組んだものであり、東京2020組織委員会自体はこれに関与しておりません。今回の報道の内容について、組織委員会の理解とは全く異なるものであり、東京は、IOCにベストな提案をした結果として、招致を獲得したものと確信しています」
招致は招致委員会が取り組んだもので、組織委員会は関係ない・・・なんて、基本全部JOCなんだから。屁理屈にも何もなりません。こんな「コメント」そのものが、自ずから示してしまうものがあるでしょう。
さらに翌日、この「招致委員会」委員長だった竹田恒和JOC会長と招致委員会の樋口修資元事務局長は連名で、
「契約した会社は大変実績のある代理店」としたうえで「コンサルタント料であり、正式な業務契約に基づく対価としての支払いだ」。
との声明を発表、しかしこれは、元検察官で私も非常にお世話になっている郷原信郎弁護士が的確に指摘しているとおり、会計監査を通過しているというのは経理処理に不備がないというだけのことで、その支払が賄賂であったかどうかとは全く無関係、むしろ正面切ってこんなことをしていたと公言することで、組織ぐるみの贈収賄であったと言っているようなものになっている。
郷原さんの表現を引用すれば「JOC側にそのような意図があったのに、それが秘匿されていたのだとすれば、JOCが組織的に開催地決定をめぐる不正を行ったことになり、東京五輪招致をめぐって、極めて深刻かつ重大な事態」となってしまうわけですから。