人生の思わぬ偶然から「開高健賞」というものをいただき、音楽とは別の一般原稿を書くようになって10年となりました。40歳を過ぎて文学賞をもらい、それから10年ですから、年齢が知れるというものです。

 いろいろな本、いろいろな連載を書いていますが、常に一貫しているのは経済コラムです。私は経済学者でもアナリストでもなく、大学では理学部で学んだ音楽家に過ぎませんが、そういう特異な立場から見る日本と世界の経世済民。

 この間にリーマンショックも、3.11震災も、IS(イスラム国)の勃興と難民問題も起きているわけで、これらを常にコラムに書き続けてきたことで、私自身大きな影響を受けていると思います。

 実は私がもともと、大学では経済学を学ぼうと思っていたのは、長年の読者ならご存知かと思います。早くに死んだ父が果たせずに終わった経済学と思ったわけですが、冷戦末期の欧州に留学して考えを改め、大学では物理を学ぶことになった。

 どちらかと言えば物理バイアスのかかった経済の見方になっているかと思います。

 10年前、経済の問題を考えるうえで最初に取り上げたのが「エネルギー・通貨・為替」という三大噺でした。10年が経過して関連の問題は少しは見通しが良くなったでしょうか?

 実際は10年前にはまだ可能性が広く認められていた原発が3.11以降今のような状態となり、混迷の度はむしろ深まっていると率直に思います。

 そんななかで、いま、改めて「お金」のことを考えてみたいと思います。お金とはいったい何なのか?

クーポンとしての電子マネー

 日頃あまり気にとめない人が多いですが、多くの人が利用している様々な「顧客カード」には「ポイント」と称されるものがついてくる場合がありますね。

 コンビニで買い物をする、ガソリンスタンドでガソリンを入れる、薬局で薬を買う・・・。

 こんなとき「ポイントをおつけしますか?」などとたずねられるのは日常茶飯事でしょう。スマートホンが普及して以降、こうした「ポイント」は商品に交換することができるので、実は「お金」の一種とみなすことが可能です。

 私が子供の頃、スーパーマーケットでは「グリーンスタンプ」とか「ブルーチップ」といった紙でできた「顧客ポイントサービス」が広く普及していました。年配の方はご記憶と思います。教育に特化したポイント制度で「ベルマーク運動」というものもある。