仮想通貨「ビットコイン」の大量消失事件をめぐり、取引所運営会社の社長が逮捕・送検されたことで、ビットコインに対する規制強化の議論が再燃している。
諸外国でも規制の動きが進んでいるが、日本と比較すると、そのニュアンスはだいぶ異なる。日本ではビットコインに対する否定的な見解も少なくないが、米国や欧州では通貨としての環境整備が着々と進んでおり、当局による適切な管理の下、健全に育成させる方向性が明確になりつつある。
ビットコインは既存の通貨制度に対するアンチテーゼという側面を持っているが、強固な金融システムを持つ「強い国家」にとってはむしろ国益となる。一方、脆弱な金融システムしか持たない「弱小国家」にとって、ビットコインは脅威となる可能性が高い。日本における規制の議論が、今後どのような方向に進むのか、日本の立ち位置が問われている。
同じ規制といっても
警視庁は8月1日、仮想通貨ビットコインの取引所運営会社「MTGOX」(マウントゴックス)の社長、マルク・カルプレス容疑者を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕した。カルプレス容疑者は取引所の運営システムを不正に操作し、自身の口座残高を水増しした疑いが持たれている。
MTGOXが破たんしたのは2014年2月のことである。当時は、ビットコインの是非やその法的な取り扱いをめぐって議論となったが、その後、あまり話題に上ることはなかった。今回、取引所運営会社社長が逮捕・送検されたことで、再び規制に関する議論が活発になってきている。麻生財務大臣は「利用実態をよく踏まえ、対応のあり方について検討を進めていかなければならない」と述べ、政府内部で具体的に検討を進める意向を明らかにしている。