連日話題を集めている仮想通貨「ビットコイン」。
2009年から運用が開始され、紆余曲折しながらも拡張し始めた矢先、東京の取引仲介会社「MtGOX(マウントゴックス)」が経営破綻した。
さらに追い打ちをかけるような事態が続く。3月4日、カナダで保管業務などを手掛けるフレックスコインがサイバー攻撃を受け、顧客から預かっていた896ビットコイン(約6100万円相当)がすべて盗まれ、サービスを停止したことを発表した。
また、ビットコインの取引仲介業務を行うポロニエックスも、ハッカーによる攻撃で保管していたコインのうち12.3%が盗まれたことを相次いで発表した。
このジェットコースターのような顛末に、ビットコインが“あだ花”であるような論調が大勢を占めているようだ。
単なる“あだ花”ではないビットコイン
2月28日の会見で、麻生太郎財務相が「あれは、通貨か。通貨として誰もが認めているわけではない」「こんなものは長くは続かないと思っていた。どこかで破綻すると思っていた」と切り捨てた。
ビットコインという“異物感”のある仮想通貨に、多くの人々が同様の感覚を持っていることだろう。
実際、通貨発行権独占に反対する無政府主義者や闇サイトなどの間で使われ始めたビットコインは、資金洗浄や違法取引などの犯罪の温床になりやすいということで、当初より各国の当局も睨みを利かせてきた。中国、インドネシア、ロシアなどでは早々に取引の規制や禁止が行われている。
そんな中での、ビットコイン消失、取引所の破綻だ。異物扱いされるのも無理はない。
しかし、である。
それでもなお、ビットコインはこの瞬間も存在し、大量に流通している。いまだに誤解している人も少なくないが、ビットコイン自体が破綻したのではなく、破綻したのはその取引仲介会社の1つである。
それ以上にクリティカルな問題は、ビットコインを信用する人が不在になることや、受け入れ店舗が減ることによりビットコインの価値が消滅することだ。だが、それはいまのところ起こっていない。
さらに、ビットコイン以外にもライトコインやリップルなどの仮想通貨が存在し、注目を集めている。リップルには、米グーグルの投資部門が投資するほどだ。
これもまた現実なのだ。
だからこそ、この仮想通貨を“あだ花”としてあっさり片付けてしまうわけにはいかないと考えている。