点は後で繋ぐ、イノベーションマネジメントの秘訣

日本企業におけるオープンイノベーションのあるべき姿(3)

松岡 智代/矢野 勝治/2019.10.1

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日本企業のオープンイノベーションは、今後どこに向かっていくべきなのか。

 社外とのオープンな共創を通じた、「左脳的な」要素と「右脳的な」要素の共存。我々は、これこそが大企業の中核事業の転地、転換を促し、イノベーションを起こす1つのカギになると考えている。

 前回の記事では、JVCケンウッドの事例にみられる大企業的・左脳的な要素と、スタートアップ的・右脳的な要素、および、それらが実際にどのような考え方・施策により実現されているかを取り上げた。本稿では、それらを踏まえた、今後のオープンイノベーションの「あるべき姿」について考察を行ってみたい。

【第1回】「JVCケンウッドが社外との共創で成果を出せた理由」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57629)
【第2回】「『両利き』の発想で既存企業もイノベーターへ」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57630)

「共創の組織能力」の能動的な発展シナリオ

 前回の記事において、JVCケンウッドは左脳的な要素と右脳的な要素を社内に共存させ、変化を普通のこととする共創の組織能力を備えていること、またそれが受動的な側面だけでなく能動的な側面に発展しうることに言及した。

 過去に120件を越す大企業にアクセラレータープログラムを提供してきたCrewwが、近年企業に繰り返し言及しているのが以下の図である。

 図の趣旨は、スタートアップとの共創を志向する大企業には組織能力が必要であり、アクセラレータープログラムはそのレベル2の位置付けに当たる手段であるということだ。手前に戻って明確化した目的に沿ったスタートアップとのマッチングを模索することもできるが、その先には組織能力をより能動的に生かしたインキュベーションがある。

 インキュベーションには大きく「VC(フィナンシャルゲイン)」と「戦略シナジー(ストラテジックゲイン)」の2つの道がある。企業方針が規定するところではあるが、どちらも企業としての意義を要するために両者の境界線は曖昧だ。