世界の経営者層の動向から見える、ビジネスの最前線とは

 世界の経営者が抱える課題、その洞察をまとめた「グローバル経営層スタディ」。本レポートには日進月歩で進むイノベーションの「いま」がある。制作に関わる日本アイ・ビー・エム執行役員 戦略コンサルティング&デザイン統括の池田和明氏(以下、池田氏)に、不断の変革が求められるビジネス最前線を聞く。

グローバル企業経営者の知見、洞察に勝機が見える

 2003年から現在に至るまで、IBMが継続的に発表してきた「グローバル経営層スタディ」。2018年3月に発表されたレポートでは、世界112カ国、20業界の経営者1万2854名のインタビューをベースに、イノベーションの現状、そして展望がまとめられている。池田氏は、日本におけるリーダーとして、長年数多くの経営者へのインタビュー、レポートの作成に携わってきた。

「IBMは、企業の代表だけではなく各事業部門のトップとも密接なリレーションを保ってきました。『グローバル経営層スタディ』ではCEO、CFO、CHRO、CIO、CMO、COOという6つの異なる役割を持つ経営者の視点を横断的に分析し、レポートにまとめるものです。調査で収集したデータは、データサイエンティストチームが分析し、コンサルタントがその解釈を行います。経営者からいただいたコメントの分析には、IBM Watsonも一部活用しています」

 グローバル経営層スタディは激変するビジネス環境のキーワードを掘り下げ、取り組むべき方策を示唆してきた。たとえば、2010年代初頭には「データは新しい時代の天然資源である」とレポートし、データが経営の根幹をなすデータ資本主義の台頭を示唆。また、「顧客価値の共創」を提言し、オープンイノベーションという新たなビジネス領域を見出している。時代に先行するフォワードルッキングなテーマをいち早く取り上げる。それがグローバル経営層スタディの真価と言える。

「インタビューを通してお客様の課題、経営者の関心事を深く知ることができる。これが本レポート制作の大きな価値だと考えています。もちろん、データが持つ新しい価値にしても共創にしても、私たちが単独で創り出した潮流でも、キーワードでもありません。世界中の経営者の方々が関心を持ち、ウォッチしているテーマを解析した結果、新時代にそった概念を提唱できたと考えています」