(三矢 正浩:博報堂生活総合研究所・上席研究員)
私の在籍している博報堂生活総合研究所は、1981年の設立から現在に至るまで、「生活者発想」に基づいて生活者の行動や意識、価値観とその変化をみつめ、さまざまな研究活動を行っています。
前回に引き続き、世の中で生じている事象に対して、研究所に蓄積された研究成果やそれらに基づく独自の視点により考察を加えてまいります。読者の皆様にとって、発想や視野を広げるひとつのきっかけ・刺激となれば幸いです。
消費に影響を与えた出来事・物事は?
今年7月は例年に比べて気温の低い日が続いた影響で、プールの客足や夏物商品の売れ行きなどに影響が出ているそうです。また先日行われた参院選でも、10月の消費増税への賛否が争点のひとつに挙がるなど、令和に入っても消費をめぐる話題と関心は尽きることがありません。
生活総研でも今夏、消費をテーマとして研究を行っているのですが、その一環として「消費1万人調査」という定量調査を実施しました。買い物・消費に関する価値観や行動について、全国15~69歳の男女1万人に聴取したもので、性・年代・エリアの区分を国勢調査に基づいた人口構成にしているため、1万人が日本の縮図のような形に割り付けられています。
調査の設問のひとつに、平成に登場した商品やサービス、起こった出来事、流行、政策など39項目を生活者に提示したうえで、「あなたの買い物や消費、お金のやりくりに対する考え方・行動に大きな影響を与えたものは?」と問いかけたものがあります。平成の30年間でいろいろなことが起こっていますが、何が影響を与えたのでしょうか。
結果は、このようになりました。
●平成の消費観・消費行動に影響を与えたもの=上位10項目
1位 携帯電話・スマートフォン 46.3%
2位 インターネット通販 37.6%
3位 パソコン 35.9%
4位 100円均一ショップ 35.7%
5位 断捨離 24.1%
6位 電子マネー 22.7%
7位 ファストファッション 22.4%
8位 消費税増税 20.0%
9位 SNS 19.6%
10位 PB(プライベートブランド) 19.0%