世の中の人たちは、「休み」をどれだけ求めているのだろうか。

(三矢 正浩:博報堂生活総合研究所・上席研究員)

 私の在籍している博報堂生活総合研究所は、1981年の設立から現在に至るまで、「生活者発想」に基づいて生活者の行動や意識、価値観とその変化をみつめ、さまざまな研究活動を行っています。

 前回に引き続き、世の中で生じている事象に対して、研究所に蓄積された研究成果やそれらに基づく独自の視点により考察を加えてまいります。読者の皆様にとって、発想や視野を広げるひとつのきっかけ・刺激となれば幸いです。

若年層は、高給よりも休みを優先?

 ついに新元号「令和」の時代になりました。1カ月近く経つとだいぶ慣れてきて「平常運転」になっているようですが、元号が切り替わる4月30日から5月1日のことを振り返ってみると、何か特別な瞬間に立ち会っている感覚というか、普段とは違う雰囲気を感じながら生活していた方も多かったのではないでしょうか(個人的な話ですが、私は「平成最後だから」と大々的に家財の「断捨離」を敢行し、捨ててはいけないものまで捨てて家族に怒られました・・・)。

 もうひとつ振り返って印象的だったのは、改元に伴ってゴールデンウィークが超大型の10連休になったことで「長い休み」について賛否さまざまな意見が交わされていたこと。私のまわりにも「10日間のうち数日くらいは働きたい」という声がかなり聞かれました。業種や業態にもよるところが大きいのでしょうが、単純に「長い休み=うれしい」とはならないのだなと、連休の難しさを感じました。

 また、この4月からは労働基準法の改正により、企業側には「年次有給休暇の時季指定義務」が課されることになりました。従業員が年次有給休暇を取得しやすくするための措置ということですが、これによって今後、個人の働き方や休み方にどんな作用がもたらされるのか(またはもたらされないのか)、気になる動きのひとつになっています。

 そこで今回は「仕事と休み」をテーマに、博報堂生活総研の長期時系列調査「生活定点」(首都圏・阪神圏の20~69歳男女 約3000名に聴取、調査概要は記事末尾に記載)から、いくつかデータを紹介したいと思います。生活者の「仕事と休み」に対する考え方には、どんな変化が起きているのでしょうか。

 最初にご覧いただくのはこちらのデータ。働く上で重視するのは「高い給料」か「たっぷりの休み」か、二者択一でたずねる質問があります。