「休む」ことが次のイノベーションにつながる。

 ここ数カ月、「働き方改革」に続き、「休み方改革」を政府主導で推進するという動きが続いている。

 既に始まった「プレミアムフライデー」に続き、2018年度には、小中高校の夏休みを短くし、その分を春や秋に分散して休ませる「キッズウィーク」の導入が検討されている。日本人の「休み方」を改革しようという考え方自体は、時代の要請に合ったものであり、これらの施策は一定の効果を上げるだろう。

 ただし、現時点で打ち出されている「休み方改革」の施策には、課題もある。最大の問題は、多少分散化させるとはいえ、期間を決めて一斉に休みを取らせようとしている点にある。

 同調圧力の強い日本社会においては、「一斉に休ませる」という方法が機能しやすいのは確かだが、本来、人が休みを取りたい時期・期間は、多種多様なはずである。「育児」「介護」といった家庭に関連するものもあるだろうし、「学び直し」「人生を見つめ直す」など、自分自身のキャリアに関連して一定の期間を要するものもあるだろう。

 こういった多様な「休む」ニーズに応えるためには、「皆と一緒でないと休みを取りづらい」という同調圧力にもメスを入れる必要があるのだが、そこには至っていない。

 また、「休み方」には、「休暇」だけでなく「休業」という選択肢もあるのだが、この「休業」の取り方については議論が進んでいないようだ。大企業を中心に、育児・介護休業に関する支援制度が整ってきているにもかかわらず、男性に限ってみた場合、育児休業の取得率が3.16%*1、介護休業の取得率が3.5%程度*2という現状を考えると、特に男性にとって「個人的な理由で、長く休む」ことの難しさがお分かりいただけると思う。

「休み方改革」を官民挙げて実効性のあるものにするためには、決められた時期に一斉に休む方法に加え、「休業」の取り方改革も含め、一人一人が、自分が必要な時期に、必要なだけ休みを取れる仕組みをどう作るか、検討する必要がある。

*1:厚生労働省「平成28年度雇用均等基本調査(速報版)

*2:総務省「平成24年度業構造基本調査