世間をいろいろ騒がせているビットコイン。デジタルマネーの一種とだけ捉えていると未来を見誤る。
むしろ、マネーというより、マネー取引の記録方法がビットコインのイノベーションである。コインそのものよりも、その記帳システムが画期的なのだ。
ビットコインで画期的なのはコインそのものではない
紙と鉛筆の時代は、月末の締め日に領収書を添付して売上経費を管理した。あるいは、棚卸し日に店を早めに閉めて、商品の個数を数えた。ビットコインは、そうした取引管理をリアルタイムで行う。このリアルタイムな帳簿入力が新しさの1つである。
これは、以前書いた「ゲーミフィケーションとクリエイティブ」という記事で、リアルタイムのフィードバックがソーシャルゲームのイノベーションと指摘したのと同じである。
スマートフォンのソーシャルゲームは、ゲーム終了後すぐに世界中のランキング表が更新され、自分の順位が逐次変動する。
スマホのゲーム点数集計と順位表更新は、アップルやガンホーといったプラットフォーム提供者が行う。店舗のPOSもシステム管理者が一度に更新する。
ところが、ビットコインシステムでは、その取引管理を世界中に散在する他人のパソコン(ビットコインの持ち物でもなければ、どこか一社が提供するサーバーでもない)で一斉に行うのがミソである(あなたのパソコンも参加できる)。
では、あなたを含め、その取引を記録することに参加するメリットはなにか?
ビットコインは、新しい取引記録を付け加えるときに、それまでの記録を暗号化する。暗号化には、特殊な計算値が必要なのである。